腎不全における人工透析の方法を知ろう
腎不全の患者さんを支える人工透析、どんな治療法なの？
腎不全を発症し、腎機能が正常時の10％以下まで低下した患者さんには、人工透析療法が行われます。人工透析といっても、その方法は現在のところ、大きく分ければ2種類あります。その2種類とは、それぞれ腹膜透析、血液透析と呼ばれる2種類です。
腹膜透析と血液透析とでは、その方法がまったく異なります。そのため、どちらが優れていてどちらが劣っているというような表面的な比較は意味を持ちません。腎不全のような重篤な疾患では、まずは自分にとってより安全な方法を選択することが大切です。
とはいえ、現在の日本の医療であれば、安全性に関してはそこまで気にしすぎるのもあまり有効ではありません。であれば、どちらの治療法を選択することでより大きなメリットが患者さん(場合によってはそのご家族)にもたらされるかを最大の関心事とすべきでしょう。
現役でバリバリ働いている患者さんの治療とそうでない患者さんの治療とでは、腎不全であるか否かにかかわらず、その時点で選択の余地が生じたりもします。腹膜透析と血液透析の選択についても、まさにそのことが当てはまるのです。
とはいえ、腹膜透析をやめて血液透析へ、もしくはその逆の方向転換は可能な場合がほとんどなので、まずは人工透析をしっかりと行うという意識が重要になります。
それではさっそく2種類の人工透析の概要について検証していきますが、まずは腹膜透析から。腹膜透析というのは、腹腔内に透析液と呼ばれる特殊な薬液を注入し、これを排出することにより、血液の浄化を行うという方法になります。
これに対して血液透析というのは、血液を体外に取り出し、人工透析専用の特殊な器械を駆使してこれを浄化し、再び体内に戻すという方法になります。腹膜透析のほうは、自宅や職場などでも実施可能な場合が多いです。一方血液透析は、人工透析の設備が完備された医療機関で実施する必要があります。
ですから人工透析は、腹膜透析と血液透析とでは方法も実施場所もまったく異なる、まったく別の透析療法ということになります。腎不全の人工透析による治療を考えている患者さんは、まずはこのあたりからしっかりと理解しておくべきであるといえるでしょう。
お仕事の有無や職種などによってもどちらを選択すべきかが変わってくるということにも、これでご理解いただけるかと思います。人工透析は、ご自身やご家族にとって最善の方法を選択すべきなのです。