人工透析は腎不全など慢性腎臓病の患者さんにとって最大のよりどころ!
 

腹膜透析と血液透析の比較

人工透析は、腹膜透析、血液透析と呼ばれる2種類の方法に分かれます。腹膜透析は、腹腔内に注入して血中の毒素(不要物や老廃物)を漉しだし、これを排出することによって血液を浄化するタイプの人工透析療法です。

これに対し、血液透析というのは、血液を少しずつ取り出して、特殊な専用機器により毒素を除去し、正常になった血液を体内に戻し、これを全身のある割合の量の血液に対して行うという人工透析療法になります。どちらも血液の毒素を除去して体内に戻すところは共通していますが、これを体内で行うのか体外で行うのかが異なります。

ただし、それぞれの人工透析療法(まで)の流れが大きく異なります。

腹膜透析と血液透析はいろいろ違うところがある

腹膜透析にはAPDと呼ばれる方法とCAPDと呼ばれる方法の2種類があります。まずはこの両者がかなり大きく異なりますので、実質的にはAPD、CAPD、そして血液透析の3種類の人工透析方法が、腎不全など重度慢性腎臓病患者には用意されていると考えて問題ありません。

血液透析は、人工透析設備を有する医療機関で行われるのに対し、腹膜透析はどちらも自宅や職場で実施することが可能です。可能とはいっても、精神的負担や管理の問題が生じるのも、腹膜透析のほうです。

血液透析は、透析治療に先立って、静脈内に血液の取り出し口(シャントと呼びます)をつくる手術が必要になります。腹膜透析の場合、カテーテルを埋め込むための手術が必要になります。いずれにしても、人工透析療法を実施する際には手術が必要になるという点では共通しています。

また、APDは、主に睡眠中に8~10時間かけて1回の透析を行います。CAPDは、1回の時間は30分ほどですが、しかしこれを1日に数回実施しなければなりません。とはいえ、自宅や職場でできるという点でのメリットは、腹膜透析のほうが大きいといえます。

ただし、これはあくまでも自分で行う透析治療なので、注射針を刺す際の恐怖感や痛みといった精神的不安の大きさや、自己管理が甘くなりやすい方法であるというデメリットもあります。

これに対し、血液透析の場合、気軽に旅行に行けないなどのデメリットが生じます。腹膜透析であれば、お薬の服用などを条件として、旅行も比較的気軽にできます。血液透析の場合、旅行をしたとしても、旅行先に透析治療が実施できる施設があることが条件になります。

両者を比較しながら、ご自身にとってどちらの方法がより有効であるかをしっかりと検証する必要があります。